最近のギター雑誌を見ればすぐにわかることですが、今の日本ではオールドの楽器が大ブームで、ギター、ベースはもちろんのこと、ドラムセットからアンプ、エフェクター等々、至る所ヴィンテージ(この言葉、かなり危険なんでこの後はオールドで統一します)だらけです。
約20年前、"ミント"という言葉はトーカイかフェルナンデスのカタログ、またはサーティーワンでしか見ることがありませんでしたが、今やギター雑誌の広告欄はミント、ミント、ニヤミント、もうミントだらけです。
本物の優れた楽器が手軽に日本で手に入るというのはとても良いことだと思います。
僕が高校生の頃、ギブソン、フェンダーと言えば本当にあこがれの的で、先輩のレスポールを握らせてもらった時のことは今でも忘れられないし、同級生が唯一手に入れたフェンダーは、当時明らかに不人気で格安だった、新古品のテレキャスターデラックスでした。
一方、気になることが3つあって、1つは、何でみんながオールドを欲しがるのか、本当に必要なのかということ。
好きなアーティストが使っているから、その音が好きだからという人、これ、大事です。
色、形がいいから、まあまあです。見かけも大切ですから。
人と違うのが使いたい、ん? ちょっと待って、今やバリバリの主流ですよ。シルヴァートーンのアンプ内蔵ケースが付いたギターが何本も並んで売ってる時代ですから。
2つ目はオールドギターは本当に音がいいのかということ。
大体において、いい材料を使い、今よりもはるかに手作りに近い形で作られているというのは事実だと思います。
弾きやすいかどうか? これは、手にしてみればすぐわかるでしょう。弾きやすいからオールドを使っているという人、僕、信用します。
オールドは軽いというのもよく言われることです。これも比較的わかりやすいと思います。僕の少ない経験でも、同型のものではオールドの方がやはり軽いと思います。ギターが軽いというのは、弾く者にとってはとても良いことです。しかし、軽いのと音がいいのとは別のような気もします。
よく言われるのは、木が鳴っている、ボディが鳴っているということです。これに関しては、僕はよくわかりません。雑誌にもよく書いてありますし、楽器店の人もよくそう言うんで、何となくそんな気がしてくるのかも知れません。第一、鳴りという言葉自体があいまいで、音量だけを指しているとは到底思えないし、音質も含んでいるのなら"鳴り"の一言では話は済まないだろうし、サスティンの事かとも考えるんですが、やっぱりよくわからないでしょう?
いい音というのは人それぞれだと思うけど、オールドだからいい、現行だからイマイチと言う人が多すぎると思います。ブラインドテストやったらおもしろい事になると思うんだけどな。
3つ目、輸入された楽器がこれから先、日本で良いコンディションを保っていけるのかということ。
気候条件がそれほど悪いとは思えないのですが、日本人は同じ物、古い物を使い続けていくということがとても苦手な気がします。そして、使い続けるというスタイルをサポートし、アドヴァイズしてくれるプロが少ないと感じています。
今、明らかに加熱しすぎのオールドブームが去った時、1本でも多く、いい状態で残ってほしいものです。
オールドの楽器は、ロカビリーバンドをやっている僕らには無くてはならないものです。50年代の音楽をやる僕らは、当時の人たちが使っていた楽器で演奏したいし、やっぱりかっこいいし、何といっても僕のギブソンはよく鳴るから!
最後に、僕が高校生の頃、"トラメ"と言ったら笑われたり馬鹿にされたりしたものでした。なのに、ここ数年は楽器屋でも"トラモク"、"タマモク"という言葉を聞くことがありません。これは一体どういう事なんだ? 今やこっちが馬鹿にされそうで、メイプルの木目の事は口に出せんばい!